季節の変わり目の頭痛はなぜ起きる? 予防・緩和に効果的な対策も紹介!
季節の変わり目の3月~5月は寒暖差が激しく、低気圧と高気圧が交互に通過することから大気の状態が不安定です。
人の体は、気圧が高いと交感神経が優位になり、低いと副交感神経が優位になりますが、気圧の変化が頭痛を誘引することがわかっています。
今回は、季節の変わり目に頭痛が起きる理由と予防・緩和に効果的な対策についてお話します。
季節の変わり目に頭痛が起こる原因は?
季節の変わり目で、頭痛や倦怠感などさまざまな不調が増える主な原因に「自律神経の乱れ」があります。
気圧の変動は心身ともに強いストレスをかけるので、自律神経のバランスが乱れます。すると血管の拡張や収縮が適切に調節しづらくなります。頭痛が起こる原因はさまざまですが、気圧の変動(低気圧)が関与している可能性は高いとされています。
気圧の影響で脳の血管が拡張しすぎると、血管のまわりに巻き付いている「三叉(さんさ)神経」の隙間がなくなり、みっちりとした状態になります。その際に血管が脈打つと、三叉神経が引っ張られ、偏頭痛の特徴であるドクドクと波打つような痛みを感じるのだとか。
人の体は、気圧や気温、湿度の変化に順応しようと働きます。しかし、気圧変動が激しい季節の変わり目はどうしても自律神経が乱れやすく、頭痛などさまざまな不調が起こりやすくなるのです。
頭痛を起こさないための予防策
頭痛を起こさせないためのポイントは2つです。
ポイント① 生活リズムを整え、気圧や気温差による心身への影響を減らす
生活リズムの乱れは頭痛を誘引します。そのため規則正しい生活に改善していくことは、頭痛の予防に効果的です。
たとえば、食事の栄養バランスを見直したり、質の高い睡眠を十分にとったりすることでも血管の働きが正常に近づき、頭痛が起きにくくなります。
心身のストレスも頭痛を誘引します。38度くらいのぬるめの湯温での入浴は、ストレスや筋肉の緊張・疲労をやわらげ、血流の改善にも効果的です。 リラックス効果から自律神経のバランスも整いやすくなります。
気圧や気温差による心身への影響をできるだけ減らすには、 生活リズムを整え、日常からの工夫で頭痛の起きにくい体質を目指す意識が必要です。
ちなみに頭全体が重く感じ、締め付けられるような鈍痛を感じることが多い緊張型頭痛は、長時間のパソコン作業などで首・肩まわりの筋肉の緊張・コリが高まることで発生しやすくなるといわれています。そのため負担のかからない姿勢を保ち、適度な運動やストレッチをこまめに行うなどで、筋肉疲労をためないことが大切です。
ポイント② いつどんなタイミングで頭痛が起こりやすいか、パターンを把握する
頭痛は低気圧など天候面の変化だけでなく、強い光や騒音などの外部刺激、睡眠不足、過眠、過労、月経、空腹、お酒、煙草、コーヒーなどが引き金になる場合もあります。
そのためご自分の頭痛が、いつどんなタイミングで起こりやすいのか「頭痛パターン」を把握することが効果的な予防策になります。具体的には、スマホのアプリを使うのがおすすめです。天候・気圧の変化から頭痛の注意喚起や頭痛の症状、痛みの度合い、薬の服用記録も管理できます。
血管拡張や収縮作用のある食品を摂り過ぎないことも大切です。たとえば、アルコールやチラミン(チョコレートやチーズ)、 亜硝酸ナトリウム (ベーコンやソーセージ、ハム )、カフェイン(コーヒーや紅茶、緑茶)などを意識して避けるだけでも頭痛の予防になります。
ご自分の頭痛の引き金になりやすいパターンを深掘りし、原因をなるべく遠ざけて、頭痛発生のきっかけを作らせないことが大切です。
頭痛が起きてしまった後の緩和策
頭痛が起きてしまった後の緩和策のポイントは3つです。
ポイント① 痛みのある部分を冷やすor温める
ドクドク・ズキズキと痛む偏頭痛の場合、痛みのある部分を冷やします。偏頭痛は脳血管の拡張によって起こるので、患部を冷やすと脳血管が収縮されて痛みが緩和します。そのため患部を温めたり、マッサージや入浴、スポーツなどで血管を拡張させたりするのは逆効果です。
緊張型頭痛の場合、 首・肩・頭まわりの筋肉の緊張から血行が悪くなって痛みが発生します。なので首のストレッチや肩回し、水泳やラジオ体操などの運動、蒸しタオルや入浴で、首・肩・頭まわりを温めることで痛みが緩和されます。
偏頭痛と緊張型頭痛とでは発生するメカニズムが違い、対処法も逆なので注意が必要です。
ポイント② 気候や温度差に対応した衣服調節
季節の変わり目の気圧変動や寒暖差の影響から、脳血管は急激に拡張し、頭痛が起こりやすくなります。また心身へのストレスもかかるので、気候や温度差に対応できる衣服調節が必要です。
特に北海道などの寒冷地では、室内と室外での寒暖差が大きいので、急激な変化にも耐えられるような服装を心がけましょう。
また外の騒音や強い光から痛みが刺激される場合があります。頭痛がひどくなりそうな時は、できるだけ外部刺激を遮断できる暗くて静かな場所へ移動しましょう。安静にすることで血圧も安定し、頭痛の緩和が期待できます。
ポイント③ 市販薬で対応or頭痛外来を受診する
市販の鎮痛剤は頭痛を和らげる作用があり、痛みが比較的軽度で一過性のものなら、高い緩和効果が期待できます。
ただし「頭痛なんていつものこと」と鎮痛剤に頼ってばかりだと「薬剤乱用頭痛」になる危険性が高まります。以前は効いていた薬の効き目が弱まったり、生活や仕事に支障が出るほどの頭痛に悪化する場合も。
近年では、頭痛の悩み専門の「頭痛外来」の数も全国的に増えており、お近くにない場合でもオンライン診療ができるところもあります。神経内科や脳神経外科、ペインクリニックでも診てもらえるので、一度受診することをおすすめします。
頭痛パターンを把握して季節の変わり目を快適に過ごそう
季節の変わり目の頭痛は、日常のちょっとした工夫や意識をもつことでも予防・緩和ができます。ご自分の頭痛パターンを把握し、原因を遠ざけておくことで、頭痛が不安な季節の変わり目でも、快適に過ごしやすくなりますよ。