お歳暮を送るときのマナーと品物の選び方
冬にはお歳暮を贈るものという知識を持っている人は多いでしょうが、いざ自分が贈る側の立場になると「いつ贈れば良いのか」「どのくらいの予算で品物を決めれば良いのか」などと悩んでしまいがちです。そこで今回は、お歳暮に関しての疑問と押さえておきたい最低限のマナーを紹介します。
そもそも、お歳暮とは?
現代におけるお歳暮は、お世話になった人に対しての挨拶という意味合いが強くなっていますが、元々は神様の誕生日を祝う際にお供え物をしたのが始まりとされています。中国から伝わってきたこの風習は、日本に古くからあったお盆や新年に神様へお供えする物を年末に実家へ持って行くという風習と融合し、現在のお歳暮文化が生まれたとされています。
そんな日本の文化とも言えるお歳暮ですが、贈り物をする時期を間違えると失礼にあたるので注意しなければいけません。北海道では師走の忙しさが始まる前の12月13日から25日くらいを目安にするとマナー的には問題ないでしょう。ちょうど「すす払い」の頃ですね。しかし、お歳暮を贈る時期というのは住んでいる地域によって微妙に異なるので注意しなければいけません。関東地方では12月の初めから31日くらいに贈る人が多く、関西地方は12月13日から31日くらいに贈るケースが多いようです。これは明確なルールではないのですが、季節的に師走の慌ただしさがあるのは確かなので送り先に迷惑をかけないためにも贈る時期についてはしっかりと配慮しましょう。
誰に、いくら位の物を贈ればいいの?
お歳暮を敬遠する理由には「誰に贈れば良いのか」「何を基準に贈る人を決めれば良いのかわからない」というものがあります。お歳暮には誰に送らなければならないという明確なルールはありませんが、一般的にはお世話になった人へ贈ることが多いです。たとえば、会社の取引先や上司、習い事の先生などでしょうか。また、金額に関しても「どのくらい?」と疑問を持つ人がいるようですが、こちらも特に決まりはありません。
ただし、極端に安価な品物の場合には相手への失礼にあたる可能性もあるので注意しましょう。だからといって、値段が高ければ良いかというとそうでもありません。たとえば、自分が貰ったお歳暮が5万円もするものだったらどう思うでしょうか。きっと「うれしい」という気持ちよりも「申し訳ない」という気持ちのほうが強くなるでしょう。お歳暮で大切なのは、贈られた側が申し訳なく思わないラインをしっかりと考えることです。
お歳暮で気をつけなければいけないマナー
お歳暮のマナーとして「のし紙」の付け方に注意があります。手渡しでお歳暮を贈るときには「外のし」にしてお歳暮であることがわかるようにし、逆に配達で贈る場合には破損のリスクを考慮して「内のし」にするのが一般的です。これはデパートなどでお歳暮を包装してもらう際に確認される場合もあるので、頭の隅に入れておくと役立つかもしれません。
また、お歳暮を贈るうえで最も気にかけなければいけないのは、相手に不幸があったかどうかです。家族や親戚に不幸があった人に対してはお歳暮を贈ってはいけません。これはお歳暮のマナーというよりは人としてのマナーと言えます。ですが、身内に不幸があったかどうかの連絡は誰にでもするわけではないので、そのような情報を知らずにお歳暮を贈ってしまうケースもあるでしょう。もし、お歳暮を贈ったあとに相手の置かれている状況が判明した場合には、改めてお進物のお線香などを贈るようにすると心遣いとしては十分です。その際、謝罪とまでは言いませんが、お悔やみの言葉などを書き添えておくとその後の関係性も良好に保たれるでしょう。
お歳暮で失敗しない贈り物とは
お歳暮で何を贈るのかは迷いどころですが、贈る相手の家族構成である程度の基準は作れます。たとえば、高齢夫婦の二人暮らしの場合には、足の早い生物ではなく比較的日持ちのする乾物や冷凍保存のできる食べ物、お酒、あるいは日用品の詰め合わせなどが無難な選択であると言えます。次に子供がいる家庭の場合ですが、こちらはお菓子やハムなどのポピュラーな品物が良いのではないでしょうか。また、離れた地域に住んでいる人に対して贈るのであれば、地元の名物をお歳暮として活用しても喜ばれるでしょう。
こうした品物選びは頭を悩ませるものですが、相手を思って品物を選んでいる時間は決して無駄にはなりません。ただ、どうしても自分で品物を決めるのが難しいようならば、カタログギフトを利用する手もあります。また、インターネットで比較的簡単にお歳暮の注文、取り寄せもできるので上手く活用しましょう。
相手を思いながらお歳暮を送ろう
お歳暮という文化は時に面倒に感じるものです。時代の流れとは逆行しているアナログな風習とも言えるでしょう。会社によってはお歳暮のやり取りを禁止しているところもあるほど、現代ではお歳暮という文化が衰退してしまっています。しかし、一年間の感謝と次の年へ向けた挨拶を行うこの行事は、他人とのつながりを感じられる温かな風習でもあるため、自分が心から感謝を伝えたいと思う人がいるのであれば、ぜひお歳暮を贈ってみてはいかがでしょうか。