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子育て

暖房器具や低温やけどに要注意! 冬場のやけどから子供を守るための対策

暖房器具や低温やけどに要注意! 冬場のやけどから子供を守るための対策

平成28年度に消費者庁へ報告されている暖房器具などによる子供(6歳以下)の事故情報は357件。そのうち約7割の240件がやけどの事故です。

暖房器具によるやけど事故は、製品別にみるとストーブやヒーターによるものが多く、こたつ、加湿器、湯たんぽ、あんかなどが続きます。

寒さの厳しい冬は、使い捨てカイロや湯たんぽといった防寒アイテムが欠かせませんが、「温くて気持ちいい」と感じられる程度の温度でも、同じ箇所を長時間温め続けていると「低温やけど」を起こす場合があります。

寒さが本格化するこれからの時期は、子供のやけど事故が増え、12月~1月にピークを迎えます。
どんな点に注意して対策をすれば、冬場のやけど事故から子供を守ってあげられるのでしょうか。

子供のやけど事故が起きやすい状況は?

好奇心旺盛な子供の行動は予測がつきにくいですよね。消費者庁に寄せられた報告から、子供のやけど事故が起きやすい状況をみてみましょう。

・石油ストーブにつかまり立ちをしてⅢ度の熱傷を起こした。(0歳)

・電気ケトルを倒して、こぼれた熱湯を浴びてしまった。(1歳)

・調理中で高温になったグリル付きコンロに手をついて、手のひらをやけどした。(1歳)

・加湿器の蒸気が出る部分に手を置いてやけどした。(1歳)

・炊飯器の前に立ち蒸気を触ってしまった。(1歳)

・就寝時の湯たんぽ使用で低温やけどを起こし、水疱びらんが生じた。(5歳)

・ストーブのやかんをひっくり返し、Ⅱ度の熱傷を負った。(3歳)

・湯たんぽにお湯を入れてしばらくするとフタが緩み、漏れたお湯で軽いやけどをした。(1歳)

ストーブやヒーターなど暖房器具によるやけど事故を防ぐには、子供の手の届くところに熱源を置かないことが基本です。子供は何にでも触って確かめようとするので、周囲の大人たちが配慮してあげなくてはいけません。

たとえば床に置くタイプの器具を使用する場合、安全柵などで囲んで普段から近づけないようにします。ストーブの上にやかんや鍋を置くと、湯気や沸騰音に子供が興味を示して近づく恐れがあるので、やめた方がいいでしょう。

また自宅にいる時だけでなく、祖父母宅などの帰省先や外出先など普段とは違う環境下で起きるやけど事故も少なくありません。普段使っていない暖房器具の取り扱いや危険性については、周囲の大人たちも認識しづらいものです。
11月~1月は帰省などで自宅以外の場所に滞在する機会も増えます。やけど事故のリスクも高まると考えられるので、自宅以外で起きる可能性もあらためて認識しておきましょう。

暖房器具でやけどした場合の応急処置

子供がやけどを負ってしまったら、一刻も早く病院に連れていきたくなりますが、まずは患部を冷やす応急処置が優先です。

効果的かつ安全なのは、水道水やシャワーの流水で冷やすことです。15分~20 分間程度冷やしてから病院にかかりましょう。
流水より氷のほうが冷やせると思うかもしれませんが、直接氷をあてると凍傷を引き起こす恐れがあるので避けたほうがいいでしょう。

着衣の上から熱湯を浴びた場合などで全身に流水をかける場合、衣服はムリに脱がせず着たまま冷やしましょう。ただし低体温にならないよう注意が必要です。痛みと熱さが落ち着くまで充分に冷やしたら、ゆっくり脱衣させます。

患部に水ぶくれや、皮膚がただれて剥がれそうでも剥がしてはいけません。人の手には本来無数の常在菌が付着しているので、やけど状態の皮膚には強い刺激となります。清潔なガーゼなどをあて、病院で適切な処置をしてもらいましょう。

やけどの範囲(片足以上、片手以上、お腹や背中全体など)が広く、皮膚が白っぽかったり、暗赤色になっていたりする場合は、救急車を手配するか速やかに病院へ連れていきましょう。

低温やけどのほうが重症化しやすい?

低温やけどとは、使い捨てカイロや湯たんぽなど「温かくて気持ちいい」と感じる程度の発熱体に、皮膚の同じ箇所が長時間接することで起きる症状です。暖房器具などで起きる通常のやけどと比較しても、治りにくい傾向があります。

火や熱湯などに皮膚が触れれば、当然激しい熱さを感じるため、すぐに冷やすといった応急処置が行われます。なので損傷は比較的、皮膚の浅い部分でとどまることが多いのですが、低温やけどの場合、熱さや痛みなどの自覚がないままに熱が接し続けます。そのため皮膚の深い部分まで損傷しやすいのです。

やけどの重症度は損傷の深さに応じて、Ⅰ度(皮膚が赤くなる)、Ⅱ度(水ぶくれができる中間の深さ)、Ⅲ度(皮膚は硬く、黄白色となる。治療後も傷跡が残る)に分類されますが、低温やけどはⅡ度、Ⅲ度が多いようです。

低温やけどは痛みがなく、水ぶくれも目立ちにくいので症状は一見軽そうに見えます。しかし適切な処置をせずに放置していると、皮下組織が壊死して重症化することがあり、場合によっては植皮手術などの入院治療が必要になるケースもあります。

低温やけどは水で冷やしても効果がない

低温やけどを起こしている場合、痛みはなくても重症化している場合があります。水で冷やしても効果はないので、皮膚の症状が悪化していたり、子供の痛がりが続いていたりする場合は、速やかに病院にかかりましょう。

低温やけどの治療は、患部の清潔に保ち、回復を待つのが基本です。石けんで患部を清潔にしたらワセリンなどの軟膏を塗ります。市販の消毒液などはかぶれることがあるので、使わないほうが無難です。

湯たんぽや使い捨てカイロ、電気毛布など低温やけどを起こす要因はさまざまですが、防止策として共通しているのが、「肌に直接触れさせない」「同じ箇所に長時間あてない」「就寝中には布団から出す」ことです。

冬の寒さをしのぐのに有効なアイテムだからこそ、扱い方に十分な注意が必要です。防止策をきちんと講じれば、低温やけどのリスクをかなり軽減することができますよ。

冬場はウイルス対策だけでなく、やけど対策も万全に!

寒さが本格化するこれからの時期は、子供のやけど事故が起きやすい条件が重なります。でも事前に情報と知識を備えておけば、自宅や外出先にどんな危険が潜んでいるのか、やけど事故から守るにはどんな対策が必要なのか、が分かってきます。

風邪・インフルエンザといったウイルス対策だけでなく、やけど対策も万全にして、楽しく冬を過ごしたいものですね。